著者はザッポスCEOのトニー・シェイ。序文にこの本はゴーストライターを使わないで書いたので、読みづらかったごめんなさいと書いてある。正直である。自分も文章を書くのが苦手なので共感がわく。
他の伝記みたいに生い立ちから章は始まるが、面白くなってくるのはザッポスCEOになったぐらいから。トニーはザッポス以前にリンクエクスチェンジ社を経営していたが、マイクロソフトに買収されたあと、企業文化がチームワーク主体から個人主体の環境になってしまったことで、自分が創った会社なのに最後には会社に行くのがいやになり辞めてしまった。そこで次の会社を経営するなら企業文化を重視するのだと思い至ったそうだ。
そこでザッポスのコア・バリューとして
- サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
- 変化を受け入れ、変化を推進する
- 楽しさとちょっと変なものを創造する
- 冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
- 成長と学びを追求する
- コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
- ポジティブなチームとファミリー精神を築く
- より少ないものからより多くの成果を
- 情熱と強い意志を持て
- 謙虚であれ
を定めた。
各コア・バリューについて細かな説明もあるが、どれも見習いたいことばかりだ。
日本にもコア・バリューや経営方針、経営指針など定めている会社はたくさんあるだろうが、それらよりはちょっと変わったものが多い。
しかしこれらのコア・バリューにしても一昔前の日本企業では普通に持っていたものもある。7など日本企業の典型的な形態だったのでは。新入社員として一斉に入社し、同じ寮に住み、仕事も遊びも同じ会社の人達と過ごす。今、日本企業では仕事とプライベートを明確にわけることがおおいので、7を推進している会社は少ないのではないか。逆にアメリカの企業が大切な事だと言っていることがおもしろい。
加えてザッポスは「社員は会社にとって最も大切な財産だ。」と言う事を実践するため、パイプラインと言うシステムを構築している。パイプラインとは自社で社員のレベルやスキルをあげるもので、新社会人を採用して会社が教育を提供して育てていくシステムだ。日本と違いアメリカではジョブ・スクリプションで仕事が明確になっているので、自分の担当以外の仕事はあまり行わない。なので昇格したれば自分でそのジョブ・スクリプションを満たすような資格、経験などを自分でつまないといけない。
でも、ザッポスではバイヤー希望で入社してきた新人をマーチャンダイジング・アシスタント、アシスタント・バイヤー、バイヤー、シニア・バイヤー、ディレクター、バイスプレジデントと会社が教育してレベルアップさせていくのだ。
これなどまるきり日本企業のやり方と同じで、新人をとって、主任、課長、部長、取締役のように育成していく。昔から日本で行っていたことだ。
経営のグローバル化が叫ばれるなかでも、日本型経営でもいいところはある。
あと一番印象深かったのは、ザッポスはザッポスに影響を与えた書籍を集めてザッポス・ライブラリーを設置している。ザッポスは社員にこの本を読むことを勧めていて、ザッポスの考え方をより理解してもらえるようにしている。これはいいかも。見習いたいところだ。
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